今年の十勝の夏は30度を超えるような日は昨年ほど多くなかったものの、湿度が高く人にも牛にとっても厳しい夏となりました。
高い湿度は牛にとっても大きなストレスになり免疫機能の低下、繁殖障害の原因になります。
換気を徹底し少しでも暑熱ストレスを下げて残暑を乗り切ってもらえたらと思う次第です。
今回は子牛の哺乳で使う哺乳ボトル・哺乳乳首の素材とその取り扱いについて今一度おさらいをしたいと思います。
素材
哺乳ボトルはプラスチック製、哺乳乳首は合成ゴムを使用しています。
合成ゴムは石油を主成分に製造される合成高分子化合物であり、耐熱性・耐薬品性・耐摩擦性に優れています。合成ゴムは様々な種類がありますが、哺乳乳首はシリコンゴムと呼ばれるものを使用しており、生体組織に対して影響が少なく酸素、二酸化炭素の透過性に優れています。繰り返しの使用に適したものとなっています。
使用後の取り扱い
哺乳ボトル、哺乳乳首が衛生的であれば大腸菌をはじめとする細菌の子牛への侵入を防ぐことができます。
使用した後の哺乳ボトルと哺乳乳首の取り扱いを振り返りましょう。
1.ぬるま湯ですすぐ
40度〜70度
・40度以下では乳脂肪分が溶けない
・70度以上では蛋白凝固が起こる
2.アルカリ性洗剤にて洗浄(大切!)
乳脂肪、乳蛋白などの有機物による汚れを除去する
スポンジやブラシで念入りに
3.ぬるま湯ですすぐ
40度〜70度
4.乾燥させる
水気を切るためにラックなどにひっくり返し乾燥するのが良い
5.使用前には殺菌剤にてすすぐ
付着している細菌を死滅させる目的があるので行った方が良い
*週に一回は必ずアルカリ洗剤の洗浄後、酸性洗剤による洗浄を行いましょう。
アルカリ性洗剤では除去できなかった乳石などの無機物による汚れを除去する役割があります。
*哺乳乳首は洗浄後消毒剤に30分程度つけおきましょう。長時間のつけおきは酸化反応によりシリコンゴムの劣化を引き起こし、耐久性を低下させるので注意してください。
乳首交換の目安
ボトルを逆さまにしてミルクが垂れるようであれば交換の目安とお話しさせていただいております。
劣化し穴の大きくなった乳首を使用することで誤嚥性肺炎のリスクが大きく上昇します。
乳首の状態は哺乳前に必ず確認し、ミルクが垂れるようであればきちんと交換しましょう。
哺乳ボトル、哺乳乳首はバケツ哺乳の方以外の大半の方が毎日使われると思います。
素材の特徴を頭に入れた上で適切に扱って管理していただき、より良い哺乳をしていただけると幸いです。
(文責 柿手 )